株主優待制度は日本独自の制度で個人投資家にとって非常に有利な制度です
本来であれば株主には配当金を支払うことで利益還元するのが筋ですが、配当金を貰う以上に株主優待を喜ぶ風潮もあり、株主優待制度は存続しています
メリットが多く、有効に活用することで資産形成が促進される制度ですが、株主優待制度には魅力だけでなくリスクもあります
今回は株主優待制度の魅力とリスクについてまとめていきたいと思います
効率的に優待を獲得するには最小単元で分散投資
株主優待制度は個人投資家を増やすことを目的としており、小口投資家を優遇する内容となっています。そのため機関投資家には、株主優待制度に反対しているところも多数あり、機関投資家にとって不利な内容となっています
100株以上で1000円のクオカードがもらえ、1000株で3000円分にグレードアップする優待株があると仮定します。100株当たりどれだけの金額の優待なのかを計算したものが下の表になります
保有株式数 | 100株当たりの優待 | 計算方法 |
100株 | 1000円相当 | 1000円 |
200株 | 500円相当 | 1000円÷2 |
500株 | 200円相当 | 1000円÷5 |
1000株 | 300円相当 | 3000円÷10 |
10000株 | 30円相当 | 3000円÷100 |
30000株 | 10円相当 | 3000円÷300 |
上記の通り、100株あたりの経済的メリットは最小の100株が1000円で最大となります
保有数の大きい株主ほど優待の受け取り割合が減少します
したがって、効率的に優待を取ろうとする場合は最小単位でなるべく多くの銘柄に投資することが望ましいです
配当利回りを含めた総合利回りを考える
株主優待のみを目的とし投資を行うことで、結果として非合理な行動を起こしている場合があります。本来、株主への利益還元は配当金で支払われるべきであり、配当金と株主優待を総合してメリットの大きいところを選ぶべきです
株価3000円のA、B二つの銘柄があるとします
Aの配当金は150円、配当利回り5%、優待なし
Bの配当金は75円、配当利回り2.5%、優待で1000円分の自社商品
このとき、Bの優待を含めた総合利回りは2.83%です。合理的に考えれば配当利回り5%のAを購入するべきなのですが、優待欲しさにBの銘柄を優先させていないか一度立ち止まって見る必要があります
株主優待の魅力的な銘柄ばかりではなく、優待はなくても安定的に高い配当利回りの出ている銘柄に分散投資をすることが望ましいと考えます
業績不振銘柄や不祥事を起こしている銘柄は避ける
株主優待は個人株主にとって非常にありがたい制度。しかし、構造的に業績が悪化している企業や不祥事を起こしている企業は避けるべきだと考えます
特に外食・小売り・サービス・航空業には人気の優待銘柄が多数ありますが、コロナウイルスの蔓延によって業績が急激に悪化した銘柄が出てしまい、優待改悪や廃止を発表した企業も多く存在します
・財務内容や企業業績を全く見ないで投資してしまう
・株価を全く見ずに投資し含み損を抱える
優待目当てで投資をしていると上記のようなことになりかねません。そして突然の優待廃止通告が来てしまい、取り返しのつかない事態になることも考えられます。きちんと企業分析をしてから投資を行う必要があります
権利取り直前に株価が大きく上昇している銘柄への投資は避ける
株主優待が魅力的で有名な銘柄には優待の権利取り直前に株価が急騰し、権利落ち後に急落するものもあり注意が必要です
小型株で人気の優待株は権利取りの直前に株価が大きく上昇する傾向にあり、特に年1回、本決算の時だけ優待を出す場合は株価が大きく上がる場合があります
優待の権利取り前に株価が急騰している銘柄には投資を避けるべきであり、もし投資をするのであれば権利取りの2ヶ月前には投資をした方がいいと認識しています
優待廃止、減配、リストラは売り
優待を目的としている企業が優待廃止や減配をしたら基本的には売却が望ましいと考えます
企業は一時的な業績悪化だけならば基本的に優待や配当を維持しようとしますが、構造的に収益悪化、財務に不安が出た場合は優待廃止や減配を行うことになります
リストラを行った企業にも注意が必要です。日本企業は雇用を守ろうとする動きをしますが、人員削減に動く企業は財務的に厳しくなっており、優待廃止や減配に踏み切る可能性が高いと考えられます。社員に痛みを強いながら株主への還元は維持するというわけにはいかないでしょう
優待銘柄への投資についての考え
株主優待制度は個人投資家にとって非常にメリットが大きく、資産形成を促進させることも考えられます。株主優待で生活費を賄い、浮いたお金で優待銘柄を増やすという好循環が生まれると投資そのものが楽しく長期的に投資を続けることが出来るでしょう
私は高配当株投資を行っているのですが、株主優待制度にも魅力を感じています
・配当+優待利回りが4%以上ある
・財務が安定している
・配当性向が高すぎない
・過去減配していない、もしくは一時的な減配に留まっている
・優待が生活に直結する
・業績が悪化していない
上記に当てはまるような銘柄であれば十分投資対象として検討できると考えます
大型の高配当株でPFのコアを固めつつ、上記に当てはまるような優待銘柄を最低単元数で分散投資行う。こうすることで全体の安定性が高まり、長期的に高配当+優待を享受できると認識します
あくまでも配当金こそが最大の株主還元だということを念頭においた上での投資が必要です。優待に振り回されず、楽しみながら投資を行っていきたいと思います
今後も不定期でブログを更新していきます
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