20代で知りたかったお金と人生のこと.com

年収400万の介護士でも資産形成できると信じて投資に励んでいます

【株メンタル】プロスペクト理論についてまとめ│損失回避性バイアス、感応度逓減性バイアス、参照点依存バイアスについて

上岡正明氏著“株メンタル”という書籍を読みました。非常に面白かったです。今回は書籍の中で紹介されていた“プロスペクト理論”について紹介していきたいと思います

 

プロスペクト理論

プロスペクト理論とは、予想した利害額や確立などの諸条件により、人間が行う意思決定をモデル化したものです。ちょっと何言ってるかわからないですよね

 

 

さて、そこで突然ですが質問です。どちらか好きな方を選んでください

A:無条件で100万円貰える

B:コインを投げて表がでれば200万円貰える

 

 

 

どちらも期待値100万円ですが、多くの方はAを選択します。利益が得られるケースでは、確実性を選ぶ傾向が強いということです

 

次の質問です。過程として、返済期限が迫った200万円の借金を背負っているとした場合、

A:無条件で100万円貰える

B:コインを投げて表が出れば借金がチャラになる

 

 

この場合も期待値は100万円です。

ですが、最初の質問でAを選んだ人でも、この質問ではBを選ぶ人が多いというのが分かっています

 

人は条件や状況によって精神面に影響を及ぼします。利益を得ている場面では「利益を逃すまい」というリスク回避の行動が出ますが、大きく損失を被っている局面では「今の損失を無くしたい」という焦りなどが行動に反映されてしまいます

 

よくちょっとの利益で利確してしまいその後の利益を逃したり、損切りができずに塩漬けされているということを耳にします。私も経験がありますね

 

人間は不合理な生物で、状況や環境によって損得勘定に大きな変化が出てしまうということが分かります

 

損失回避性バイアス

質問の結果からわかる事は、人は損をすることを異常に嫌うということです

順調なうちは堅実な投資をしますが、大きく損をしてしまうと、その損失を取り戻そうとして一か八かの大胆な行動を取ってしまいます

 

損をすることを回避しようとする人間の心理を“損失回避性バイアス”と呼び、この心理状態がかえって不合理な行動を招いてしまうといいます

 

投資家が勝つためには“損小利大”、損失を減らして利益を伸ばすことが重要ですが、この損失回避性バイアスによって結果的に“利小損大”の行動を取ってしまうわけです

 

「含み益が無くならないうちに利益確定しよう」

「下落したからナンピンして買い増そう」といった具合です

 

ちなみに、個別株はアクティブ投資なので安く買えるに越したことはありません。ナンピンも私はしますが、見通しの立たない銘柄の損失を回避しようとして買い下がるのは危険な行為でしょう。ですが、渦中にいるとそれに気づけないということを説いているのです

 

利益よりも損失のほうが大きく感じる

下の図はプロスペクト理論の価値観数と呼ばれるグラフです。写真撮影が下手ですいません

 

例えば一万円の利益では主観的数値が“1”に対し、損失は“2”を上回ります

 

画像

(本書P113より引用)

 

利益を得られた時の心理的価値の上昇は緩やかですが、損失を被ったときは即座に心理的価値が下がることが読み取れます。ざっくり2倍以上の差はありそうですね

 

同じ金額の損得でも、受け手の被る心理的価値は大きく違います。この違いが前述した質問で借金返済できる選択を取ってしまう理由となるのですね

 

将来の株価はどうなるか誰にもわかりません。株を買ったら上がるかもしれませんし、大きく下落する事もあります

 

損失回避性バイアスが働くと、結果的には株価が上昇する期待感よりも、売らないと損をしてしまうかもしれないという不安や焦燥感が強く出てしまう傾向にあるのです

 

結果、「なんであの時に売ってしまったんだろう」、「こんなに下がるなら、あの時損切しておけばよかった」、「怖くて買えなかったけど、結果的に買い場だった」といったことになります

 

あるあるですよね。私もよくあります

 

感応度逓減性バイアス

先ほどのグラフを見ると、利益や損失が大きくなればなるほど、心理的価値の振れ幅は小さくなっていきます

 

人間と言うのは、金額が大きくなればなるほど、感じる価格の価値は鈍化するというのことが分かっています。これを“感応度逓減性バイアス”と呼びます

 

500円の商品が550円になるとインパクトを感じますが、1万円の商品が1万50円に値上がりしてもそれほど感じませんよね。同じ50円でも価格によって感じ方が異なります

 

損失も同じです。1000円の株が900円に下落するとショックを受けますが、1万円の株が9900円に下落してもそれほど痛みを感じません。下落率は違いますが、金額で見れば同じ額です

 

この時に一番危険なのが大きく損失を被っている時です。損失が増加すると、初期よりも金額の損失に対する心理的なダメージが減少し、負けた金額を取り戻そうと大胆な投資行動に走ってしまいます

 

投資を続けていくと、徐々に動かせる資金が大きくなり、レバレッジをかけた取引や信用取引をしたくなることがあるかもしれません。これは良くも悪くも投資初期に比べ損失に慣れ、麻痺してしまっている状態です

 

私自身堅実な投資を心がけるようにしていますが、いつかバンバン信用取引を使うデイトレーダーになってしまうのでしょうか。軸がぶれないように気を付けます。初心忘るべからずですね

 

参照点依存バイアス

私たちは自分の購入した取得単価が基準となり、それよりも上ブレれば「含み益」、下ブレれば「含み損」と呼んでいます

 

ですが、自身が購入した株価はその企業の業績を裏付けるようなものでもなければ何かの指標になるような数字でもありません。世界で1人、自分にしか関係のない数字です

 

しかし、私を含め、多くの方が取得単価と比較して一喜一憂してしまうのです。これを“参照点依存バイアス”と呼びます

 

また、最初に見た時の株価から下落して「これは買いだ」と感じてしまうのも参照点依存バイアスによるものです。最初に見た株価が参照点となり、今の下落は一時的と捉えてしまうのです

 

勿論、それが当てはまる事も多いでしょう。一過性の下落で購入し回復する。「あの時が買い場だった」とあとから振り返る事もあります

 

ですが、全ての銘柄が当てはまるわけでもありません

企業業績が著しく落ち込んでいたり、市場の劇的な変化によって不利になったのであればむやみに手を出してはいけない場面もあります

 

結局は今の株価が「割高」か「割安」か、そこで判断しなければいけません。「あの時はもっと安かったから」というようなことに固執するあまり投資を見送って機会損失を被ったり、「あの時よりも安いから」といった理由で投資して痛い目を見ることもあります

 

プロスペクト理論を知る事は備えになる

短期の株価の値動きは読めません。そのため本来一喜一憂する必要は無いのですが、このような心理的な影響を受け非合理な選択をしてしまいます

 

人間は合理的な生き物のようで、常にその選択ができるわけではありません。しかし前述したようなことを知識として持っていれば、客観的に自身を見ることができるのではないでしょうか。もしかしたら、「あっ、今バイアスがかかってる状態だ」とわかるかもしれません

 

もしも市場が暴落し、多くの人が混乱している渦中で自分が冷静で入れたら、こんなにもチャンスはありません。株価や利回り、大衆の意見に振り回されず、割安な優良銘柄に対して自身の投資軸を持って投資を行っていけばいいのです

 

そのような状態になれれば相場から退場することも無いでしょう。株式投資には勉強することが多いですが、特にこういった行動心理学は長期投資をするうえで重要になると感じています。なにせ株式投資は長期的に投資を続けることでリターンを享受することが高い確度で実証されているので、相場に居続けることが何より重要だからです

 

自分の投資軸を持って、冷静に着実に投資を行っていきたいとブログを書きながらあらためて感じた次第です

 

当ブログではアフィリエイト広告などを基本的に貼ることはしないのですが、他にこの書籍を紹介する方法が分からないので一応リンクを貼っておきます

 

 

今後も定期的にブログ更新していきます

Twitterもよろしくお願いします