今回はこの見当識障害について紹介していきます。
見当識障害とは
見当識とは、自分が置かれている状況を正しく認識する能力です。
具体的には年月日、時間、季節、場所、人物などが挙げられます。
見当識に障害が起きると、今日は何月何日なのか、今は何時なのか、ここはどこか、誰だかわからなくなるなど、正確に認識することが出来なくなります。
見当識障害の出現の仕方
・時間や季節がわからなくなる
初期症状として、時間の認識が出来なくなります。そのため、遅刻をする、外出の準備ができないといった症状が出てきます。
次に曜日や年月日、季節を間違えることが多くなり、季節に合った服装を選べなくなるなどの症状が出現します。
・場所がわからなくなる
現在の居場所がわからなくなってきます。例えば通いなれた道がわからなくなる。外に出たら自分がいる場所がわからなくなって家から帰れなくなるということが起きます。
場所への認識も薄れてきます。病院に行っても病院だとわからなくなったり、家の中でも自分の部屋とトイレを間違えることが起きてきます。
・人がわからなくなる
症状が進行すると人の区別が出来なくなります。親しい友人や家族でも認識できなくなることがあります。
また、息子と孫を間違えるなど、関係性があやふやになることもあります。
見当識障害の方に対する接し方
見当識障害が現れると、約束を忘れたり迷子になったり、家族を知らない人という言う場合もあります。症状が進むとトイレと間違えて排泄をしてしまったり、トイレに間に合わず失禁する場合もあります。
周囲の人は、大変なストレスになりますが、病気の症状であることをしっかりと理解してあげることが重要です。
認知症の方に対して怒ったり責めたりしても、本人は怒られている原因が認識できません。そのため自尊心を傷つけたり興奮させてしまいます。
間違いを責めず、冷静になって対応しましょう。
見当識障害が原因で起こりうるリスク
見当識障害によって、自分の居場所が分からず、徘徊してしまう場合があります。その結果、交通事故を引き起こしてしまったり、行方不明になる事件が実際に起きています。
外出時は目を離さず、見守ることが大切です。一人で抱え込まず、地域の民生委員やヘルパー等、活用できる資源を利用していきましょう。
その他バッグに住所や名前、連絡先を付けておくなども有効な対策です。
別のリスクとして、季節が認識できず、夏なのに着こんだり、冷房を付けずに過ごすなどして脱水症状になるリスクもあります。
季節を思い込んでいる場合は理解してもらうことが難しい為、冷房を付けたり水分を多くとってもらうなどして対応していきましょう。
見当識障害への対応
散歩をする
見当識障害の方が身近にいる際、外に出すのが不安だと思い、家の中で過ごす時間が多くなってしまうことがあります。
しかし、これは脳への刺激が減って進行を促してしまったり、身体機能の低下を招いてしまうため逆効果です。
散歩をすることで身体を動かし、心地よい疲労につながります。心理的にも気分転換になり、良いリハビリになります。
注意点として、必ず目を離さないようにしてください。
カレンダーや時計を上手に使う
見やすい大きさのカレンダーを貼って、今日の日付に印をつけていくことを日課にしたり、一日のスケジュールを作って規則正しい生活をすることが大切です。
本人がわかりやすい時計を選び、時間によって「お昼ご飯ですね」、「寝る時間ですね」など、意識して声掛けすることもいいです。
トイレ
トイレを間違えてしまう場合は、「トイレ」と書いた紙を扉に貼るなどして、認識しやすいようにします。また、トイレまでの案内表示を作ることも有効です。
また、本人の排泄のリズムを確認し、時間を見て声掛けしてあげるのもいいです。
まとめ
見当識障害は、認知症による症状の中でも特によく見られ、対応が難しいです。
認知症の方の行動を「問題」として捉えるのではなく、症状として理解することが大切です。
ストレスとして抱え込まず、周囲の協力も得て対応していきましょう!