高齢者の問題行動や人格の変化は、その人の性格によるものではなく病気の可能性があります。
認知症の一つである前頭側頭型認知症について、症状や原因、対応方法について説明します。
前頭側頭型認知症とは?
脳の前頭葉と側頭葉が委縮し、血流が低下することによって様々な症状が引き起こされる病気です。
他の認知症よりも若年で発病することが多く、65歳未満の若年認知症の中では血管性認知症、アルツハイマー型認知症に次いで3番目に多い病気です。
多くの人が70歳頃までに発病します。
他の認知症と違い指定難病に認定されています。
前頭側頭型認知症の原因
はっきりと原因は解明されていません。
タウたんぱく等のたんぱく質が変化し、蓄積することで発症に関連すると言われています。
前頭側頭型認知症の症状
規則を守ることや他人に配慮することが出来なくなります。
周囲の状況に関係なく、自分が思った通りの行動をしてしまいます。
交通ルールを無視して赤信号を通過してしまったり、人のものを勝手に持って帰ってきてしまいます。
同じ行動を繰り返す「常同行動」も現れてきます。決まった時間に決まった行動を取らないと気が済まない。無くなるまで食べ続けるといった行動がみられてきます。
症状が進行すると、意欲や活動性が低下し、寝たきりで何もしなくなり運動機能も障害されてきます。
介護者のポイント
・病気を理解する
同じことを繰り返したり、常識外な行動が増えるため介護者の負担は強いものになります。
まずは病気であることを理解し、認知症状であることを理解することが大切です。
その人にどんな行動が見られるのかを観察し、その人にあった対応が必要です。
・見守ることも必要
家の中を歩き回るなどしたら、無理に辞めさせず見守ることも必要です。
同じ行動を辞めさせようとすると怒ったり暴力を振るうこともあります。
・落ち着いて過ごせる環境を整える
外部からの刺激に敏感になり、不安から症状が出ることがあります。本人の暮らしてきた生活を作るなど、安心できる環境作りが大事になってきます。
介護者も、笑顔で接することを心がけましょう。
前頭側頭型認知症の治療法
現在前頭側頭型認知症を完全に治したり、進行を止める薬はありません。
ですが、出現している症状に対しては薬物療法や作業療法で対処療法を行います。
・これまでの本人からは考えられない反社会的な行動をする
・周囲に関心を向けなくなる
・些細なことに執着し、思い続け同じ行動をする
・時間に執着する
・同じ言葉を繰り返す
・喜怒哀楽を表さない
このような症状が出たら、すぐに医療機関に相談してください。
まとめ
前頭側頭型認知症の方は自分に病気の意識がなく、周囲の人からも気づかれにくいです。
「性格が悪くなった」、「人が変わってしまった」と思わず、病気の可能性を疑って早めに受診してくださいね。