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年収350万の介護士でも資産形成できると信じて投資に励んでいます

パラマウントベッドHDへ新規投資│事業、業界、将来性、株主還元について

パラマウントベッドHDに新規投資しました。介護業界で働いてる方ならよく知っている企業だと思います

 

今回はパラマウントベッドHDについてまとめていきたいと思います

 

人間は終末期をパラマウントベッドの上で過ごす

高齢者福祉に携わっている私としては、パラマウントベッドにはいつもお世話になっています。介護職に携わる方なら知らない方はいないでしょう

 

医療・介護用のベッドメーカーです。病院や高齢者施設、自宅で療養する方に向けたベッドやマットレスを中心に販売、レンタルのほか、メンテナンスや点検をしています。国内では70%超の圧倒的トップ。世界でも2位の地位にいます

 

ビジネスモデルはこんな感じ

(引用:HPより)


ここで一つ。この世に不老不死はありえません。人間には寿命があり絶対死にます。そして寿命にも2種類あります。平均寿命と健康寿命です

 

平均寿命は息を引き取るその年齢。そして健康寿命は自立した人生を送れなくなるなった年齢です。つまり介護無くしては生きていけない状態です

 

“平均寿命-健康寿命=要介護状態”と認識してもらえればOKですかね

 

健康寿命を迎えた方は、残りの人生をどこで過ごすことが多いかというと、ほとんどがベッドの上です。その期間は結構長くて、人によっては10年以上になる事もあります

 

医療の進歩というのは残酷な一面もあるなとよく思います。死にたくても死ねないんですよね。そしてベッドの上で身体を動かすことも難しくなる。だからいいベッドやマットレスを使用して介護を受けないと褥瘡=床ずれを起こします

 

褥瘡=床ずれって酷いんですよ。高齢者はやせ細って肩甲骨や座骨、踵骨が突出してきます。そこに圧がかかり続けると壊死し、酷いと骨まで見えるほど体に穴が開いてしまうんです

 

健常者なら自分で寝返りを打てるから大丈夫ですけど、終末期になると寝返りもできなくなるし痛みを訴えることもできなくなる

 

介護者としては、綺麗な体で亡くなって頂き、ご家族にお返ししたい。そう思うのですが、実際はそうもいかないことが多いです

 

パラマウンドベッドは医療・介護用ベッドで圧倒的なシェアを獲得しています。私の体感では100%。正直他のメーカーを使っている施設を私は見たことがありません。ちなみに妻も私と別の事業所で10年以上介護を続けていますが、同じ意見です

 

人は必ず死にますし、多くの人が最期の瞬間を病院や高齢者施設で迎えます。ですが、最期の“家”も病院や高齢者施設になります。そして要介護状態になると一日の大半をベッドの上で過ごします。その期間は長くて10年以上

 

冗談ではなくリアルに、人は終末期のほとんどをパラマウントベッドで過ごすことになるのです

 

私たちは超高齢化社会のピークに生きている

今、日本は尋常ならざる高齢化社会を迎えています。2025年問題という言葉を聞いたこともあるのではないでしょうか

 

2025年問題は、団塊の世代が75歳以上=後期高齢者になるということ。団塊の世代の800万人が75歳以上になり、総人口の4人に1人が後期高齢者になるという状態です

 

これは本当に大変な状態で、そして不可逆的なものです。介護の人手不足は大きいのに、介護を必要とする人も増えている。必然的に、要介護状態の高齢者様に割く時間も短くなっていきます

 

そうすると、どうしても福祉用具に頼らなくてはいけなくなります。前述したように褥瘡=床ずれを作らないように自動で圧を抜いてくれるエアーマットを使用したりしています

 

ベッドに敷くマットレスも、ただ柔らかければいいというわけではありません。その方が自分で動ける能力がある方であれば、柔らかすぎると体が沈み込んでしまい力が分散されて逆効果です。そういった方にはやや硬めのマットレスが適しています

 

全く動けない方なら体圧が分散される柔らかいマットレスが必要です。その方に応じて様々なマットレスを用意し提供しているのもパラマウントベッドの大切な役割です

(引用:HPより)


他にも、背骨が丸くなったり足が固まって浮いてしまう状態になる方も少なくありません。そのような方には寝ている間にクッションを体の隙間に入れてあげることで安楽な体位を作る事が出来ます

 

クッションも沢山ありますが、その人によって使い道が異なるのでバリュエーションが多いと私たち介護者も高齢者様も助かります

 

また、人はいつか歩けなくなります。その時の足になるのが車椅子です。パラマウントベッドが扱ってるのはベッドだけではありません。足となる車椅子、救急搬送時に活用されるストレッチャーなども事業展開しています

(引用:HPより)


介護保険制度も追い風になっている

2000年から始まった介護保険制度。これによって業界外から介護業界に参入し全国に展開する企業が増加しました。企業が施設を展開するたびにベッドやマットレスは必要になります。こうして業績を伸ばしてきました

 

介護保険制度は3年に一度見直されます。そして2024年に改正・試行されました。この内容にもパラマウントベッドに追い風となる内容が含まれていました。それが“生産性向上推進体制加算”です

 

まず、加算とは簡単に言えば“オプション”のようなものです。「うちの介護施設はこんな体制が整ってますよー。だから介護料金を少し高く設定することが許されてますよ」みたいな感じです

 

加算は多くあって、この加算要件に満たせばそれだけ料金を上乗せすることができるので、事業所からしたら、どれだけ加算を多くとれるかが経営の課題になります

 

そして“生産性向上推進加算”は今年から新たに導入された加算です。簡単に言えば、「ICTやロボットなどの機器を使って見守りなどを行い支援の質を落とさない、かつ介護者の負担を軽減したら加算を認めるよ」というものです。細かい条件があるのでここでは省きます

 

この加算にぶっ刺さる商品がパラマウントベッドにあります。「眠りスキャン」という商品です

 

眠りスキャンは布団の下に敷くだけでその方の入眠状況、呼吸状態、血圧、脈拍などがリアルタイムに離れた場所で確認することが出来ます。付属品を使用すれば体を起こしたこともわかる為、ベッドからの転落防止にも繋がります

(引用:決算説明資)

 

また上図のようにリカーリングへの転換=ストックビジネスとして継続的な収益も期待できます


私はたまに妻とデートがてら“福祉機器展”や福祉大の学園祭に行って福祉機器を見ることがあるのですが、この眠りSCANが紹介されている場面を多く見かけます。実際、今後は多くの施設で導入される流れになるんじゃないかと思います

 

この機器を導入すれば入居者様の安全がよりわかりますし、職員の心労や単純な作業量も減るでしょう。そして就職活動者や利用するご家族にも「私たちの施設はこの機器を導入していますよ」というのは大きな宣伝効果になります。何より加算がとれるので経営にもプラスです

 

今回の介護保険の改正でこの加算を知った時に、私はパラマウントベッドに投資することを決めました。もともと注目してたんですけどね

 

これからの世界は、日本以上の高齢化社会が訪れる

パラマウントベッドは1947年に創業しました。戦後の病院用ベッドを手掛けたことが始まり、「国民病」、「亡国病」と恐れられた1950年代の結核流行時代にベッドを展開したことで発展しています

 

当時の結核って死因第一位だったんですよね。医療の進歩って素晴らしい

 

1961年に国民皆保険ができると病院が増え事業も展開。2000年には介護保険制度がスタートしたことで民間の企業が介護事業に参入。介護施設の増加と共に成長してきました

 

パラマウントベッドが次に成長戦略を取ろうとしているのが世界です。世界で一番少子高齢化が激しいのは日本ですが、これからは日本以上の少子高齢化が待っている国があります。それが中国です

 

中国は1979年から2015年まで、実に36年間もの間“一人っ子政策”という、今考えても異常な政策をしていました。二組の夫婦から一人の子供しか生まれないのですから、どうあがいたって将来大規模な少子高齢化が中国を襲います

 

また、2023年の韓国の出生率は0.72です。これは異常値です。他にもヨーロッパや台湾、シンガポールなんかでも出生率は低下しており、徐々に高齢化の波が訪れるでしょう

 

現在パラマウントベッドは世界でも2位のシェアを誇り、拠点も増やしています。人口増が見込めるインドにも進出しましたね

(引用:個人投資家プレゼンテーション資料)

 


また、世界に先駆けて高齢化の波を受けた日本で蓄積されたノウハウは、世界でも通用するでしょう。なんなら、世界からしたら日本の少子化対策は真似したくないでしょうけど、介護サービスに関しては日本をお手本にしたいと思うんじゃないかな

 

睡眠負債認知症の元凶

睡眠不足が蓄積されると借金のように蓄積されます。これが睡眠負債と呼ばれます。借金もため込むとツケがきますが、睡眠も負債をため込むと心身に異常をきたします

 

たとえば認知症の発症リスクです。一口に認知症といっても、いろんな種類があります。その中で最も比率の高い認知症アルツハイマー認知症です

 

アルツハイマー認知症はゆっくりと、そして確実に脳萎縮が進行していく病気です。その原因は近年までわからなかったのですが、脳の老廃物の蓄積によるものだと分かりました

 

その老廃物は睡眠をとることで体外に排出されますが、睡眠負債によって蓄積されてしまい、認知症になるということです。認知症は決して高齢者だけの病気ではありません。若年性認知症という言葉もあります

 

パラマウントベッドは傷病者や高齢者だけでなく、現役世代に向けたビジネスも展開しています。今後はこの健康事業をどれだけ拡大できるかが業績の鍵の一つになるでしょう

 

睡眠って借金はできても、貯金はできないんです。“寝貯め”って概念はありません。だから日々の睡眠はとっても大事。そこを認知してもらえれば、睡眠負債大国の日本での業績も更に伸びるのかなと思うところです

業績について

ここまでいろいろと書いてきましたが、結局業績はどうなんだって話です。2024.5月に本決算がありました。過去最高の業績です

(引用:決算説明資)

 

また、25.3期の業績も売り上げ、営業利益は過去最高を更新すると予想しています。

中期経営計画の目標も2年前倒しで達成ときわめて順調だと思います

 

営業利益率は13%台。業界2位のフランスベッドが7%台ですから、これは立派な数字だと思います

 

財務状況ですが、自己資本比率は70%台をキープしています。全く問題ないですね

(引用:IRBANK)

 

EPSです。綺麗な右肩上がりではありませんが、着実に増えていると言っていいと思います

(引用:IRBAK)

 

指標面を見ても全く問題ないかなと思うところです

 

株主還元について

業績が好調だからといって、じゃあ還元はしっかりしてくれてるのかって話です。もともとパラマウントベッドの配当政策はDOE2.7%及び配当性向 30%としていました

 

これが5月の本決算で、DOE 4.0%及び配当性向 50%目安へ大幅に上方修正され、配当金も32円増配しました。びっくりですよね

(引用:決算説明資)

 

上図の通り、ここ10年での減配歴もありません。ビジネス上、安定した収益が見込めますので、配当も安定的に出せると思います

 

そしてそれだけではありません。パラマウントベッド株主優待もあります。それがクオカードと、一応商品の優待券ですね

(引用:決算説明資)

 

パラマウントベッドは2021年に株式分割をしています。ですが、優待は引き続き100株から権利を得られる「実質拡充」としてくれました。株主還元への姿勢に関しても私は全く文句がありません

 

私は一年ほど前からパラマウントベッドを注目していたので、今回の大増配は頭がクラクラしました。「あぁ、株価が上がってしまう。また買い損ねた」と思っていたからです。ですが、翌日の株価は横ばいで配当利回りだけが上昇しました

 

6/7付の配当利回りは3.35%。もともと3%もない水準だったのですが、高配当になりましたね

ただし、配当性向をここまで引き上げたので、今後このような大増配は無いと思います。業績に応じて着実に増配をしてくれることを期待しています

 

私の投資方針について

将来性があり、株主還元も積極的な企業。そしてシェアも国内トップです。ベッドやマットレスはレンタルとしても扱っているので長寿化の恩恵を受けるストックビジネスにもなります


介護事業者が施設を展開する際に、わざわざベッドメーカーを変えたりしないでしょうから、これは参入障壁にもなっていると考えています

 

なによりも、私はこの企業をよく知っていますし業界の事もある程度分かっています。肌感覚で、「ここは安心して保有できる」と思っています

 

認知症の予防にも睡眠って本当に大事で、日本で一番多いアルツハイマー認知症の原因です

だからパラマウントベッドの需要は高齢者だけではないでしょうし、勿論認知症になったら不眠症状も出ますから、寝具は誰にとっても重要です

 

戦後から病気や介護が必要な社会的弱者に寄り添ってきた企業です。個人として応援したい、世界的にも活躍してほしいという気持ちもあります

 

まずは夫婦それぞれの口座で1単元ずつ購入し優待権利を獲得。更に株数を増やしてPFの主力級に出来たらと考えています。ここまで読んでいただきありがとうございました

 

 

今後も定期的にブログ更新していきます

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