若いうちから勤勉に努め、節約し、老後の為に蓄財や資産形成をすることは非常に重要だと言われます
その一方で、若いうちにたくさんの経験をすることが重要だとも言われています
また、雑誌やウェブサイトなどメディアで紹介されている“人が死ぬときに後悔すること”というには、必ず「働きすぎなければ良かった」、「自分にもっと正直に生きればよかった」がランクインします
仕事に時間を費やすあまり、本当にやりたかったことができなかったり、お金があってもやりたいことを存分に楽しめる年齢を超えてしまった事が後悔の要因です
今回は若いうちにお金を使う事の重要性と、老後のお金についてまとめたいと思います
記憶の配当は馬鹿に出来ない
私は20代で妻と結婚後、オーストラリアへ総額130万以上の新婚旅行に行きました
当時の年収は350万程度、転居や挙式、指輪の購入などで多額の出費が続いていたのですが、人生で一度きりの旅行だし、一生モノの経験になると判断して金を惜しまず旅行を盛大に楽しみました
一週間の旅行はまさに「最高」の一言に尽きました。あれからもう7年が経ちましたが、今でも写真を見返したり、テレビでオーストラリアの映像が流れると当時を振り返ったりします
これからも定期的に振り返っては幸せな気持ちになるだろうし、この記憶は一生残り、誰にも奪われる事はありません
お金を払って得られるのは、その時の体験や経験だけではありません。その経験がその後の人生でもたらす喜び、つまり“記憶の配当”も含まれることを実感しています
年を取ると健康は低下し、物事への興味も薄れていく
人間は誰しも加齢とともに衰え、体力が無くなりいずれは死を迎えます
老化に伴い健康力は低下し、物事への興味も薄れ、性欲も減退、創造性も失われます
また、衰弱するとベッドから起きる事もままならなくなります
こうなってしまうと、お金は役に立つのでしょうか。お金から価値を引き出す能力というのは、年齢と共に低下していきます
私が新婚旅行で得たかけがえのない経験は、何よりも若さがあったからこそ、定年後に旅行に行ったとしても、20代のようには楽しむことはできないでしょう
老後で価値が高まるのは思い出
私は介護士として施設で勤務しており、これまで沢山の高齢者と関わってきました
認知症の進んだ方、記憶のある方、皆それぞれ思い出を語る時、それは良い車を買ったことや大金を稼いだことではありません。
旅行をしたこと、子供を育てたこと、結婚した時のこと等、みな共通して体験について語ります
そして今何がしたいかと伺うと、「外に出たい」、「美味しい物を食べたい」等、大金を必要とするような事を望む方は殆どいません。80歳にもなると、ほとんどの欲求が薄れ、平穏に暮らすことを望まれるようです
そして、多くの方は老後の為に残したお金を使い切れずに亡くなっていきます
寿命を迎えた時に1000万円が残ったとします。仮にその方の現役時代の手取り年収が500万円だった場合、2年間分はタダ働きしたと言い換える事ができます
もしもその時間とお金を若い時に使うことができていたら、より多くの思い出で満たされた人生になったのかもしれません
老後の備えは必要だが、備えすぎるのは間違い
老後の備えは大切です。近年は長生きすることが「リスク」として捉えられるようになり、ますます重要性は増しています
しかし、老後に備えすぎるあまり楽しみを先送りしてしまい、“記憶の配当”を享受できない人生では、老後の価値が薄まることにつながりかねません
日本の社会福祉はしっかりと整備されています。年金制度が破綻することはありません。介護保険制度があり、医療も充実しています。セーフティネットとして生活保護もあります。また、iDeCoの活用も老後資金形成の一助となるでしょう
アリとキリギリスの有名な寓話があります。アリが冬に備えて穀物を蓄えて満足している一方で、キリギリスはお腹を空かせているという話は、もちろんキリギリスの刹那的な生き方が間違っています。ですが、アリのような生き方が美徳だというのも違うと考えています。
人生の冬に備えなくていいわけがありません。経験の為にどれだけお金を使っても良いとも思いません
ですが、アリのように勤勉に働き、楽しみを先送りすることが美しいとも思いません
キリギリスはもう少し節約すべきだし、アリはもう少し今を楽しむことが大切だと考えます
今後も不定期でブログ更新していきます
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