12/14にクミアイ化学工業の決算発表がありましたので、その内容を振り返っていきたいと思います
24.10期の配当予想を17円減配
23.10期の配当予想を2円引き上げ、45円としました。ここまではよかったのですが、併せて発表した24.10期の配当を28円にすると発表。17円の減配予想です
減配は全く予想していなかったと言うのが正直な感想です。20年以上にわたる非減配の実績と株主還元を強化してくるという資料からの文言、あとは近年の日本企業全体の株主還元の風潮から、それなりの還元方針を明示してくると思ってました
投資をする際に、想定できる最高と最悪のケースをよく考えるようにするのですが、私の中で最悪でも配当政策については配当性向30%かつ前年を下限とすると思っていました
まぁ、自分が勝手に期待したことです。全ては欲望のままに思い描いた願望・妄想・都合のいい解釈、身勝手な言い分、自分がまいた種。何が最悪の想定、都合のいい想定をしていたにすぎない
と、カイジに出てきそうなことを書きましたが、本当にそうだと思います。猛省。
実際、クミアイ化学は今回の決算で配当政策について“配当性向30%以上”と明記しました。配当性向を30%まで引き上げたのは23.10月期のみ。決して株主を軽視しているわけではないと思います。もしそうなら、2023年度の途中に配当性向を引き上げて大増配したりしないと思うんです
これまで明確に出していなかった配当性向を出し、業績に応じた配当政策ということを今後も実行していくということです
(引用:決算説明資料)
保有株の減配は久しぶりだったので多少ぐらっと来ましたが、過去にも保有株が減配したことが何度かあります。そして感じているのが、「減配して売るのが必ずしも正しいとは限らない」ということ
業績連動型の配当政策を取る企業は不景気や業績低迷時に減配します。そしてそういう時に買った株こそのちに高いリターンを出すことはよくある話。ただ、確実にそうなるとは限らないからこそ十分に分散したPFを構築しリスク分散を図る。PF全体で元本を守り、前年を上回る配当を貰えるようにすることが継続する上で大事
一つの銘柄が減配しても基盤が揺るがないPFを築いておく。改めて感じたことです。クミアイ化学については、私は新規投資した時にリスクを含めてよく調べれたと思っています。そのうえで納得して買いましたし、ここ最近も株数を増やして300株にしていました
この新規投資してからの時間軸だけで言えば、私の行動は悪手でした。それは実力不足。いい経験になりました。ただ、時間軸をどの点で切り取るかで話は全然変わってきます。もともと短期売買を目的として投資を行っていません。減配したから売るという話でもありません。末永くお付き合いしていきたいと思います
ここでXで今絶賛話題沸騰中のインフルエンサー、紫宝(しほう)𓈒𓏸投資歴22年長期高配当株 & インデックス 投資家(@Earn_Dividends)さんのポストを引用させていただきます
私の超主力銘柄JTが、仮に来期以降、年間配当を188円から半分の94円に下げたとしたら?→1株たりとも売りません。それどころか「特大セール」「大チャンス」だと思い、"当然のように暴落した"後の株価で大きく買い増します。2021年12月期の減配(2022年2月以降)でもそうしました。何故か?→結局復活…
— 紫宝(しほう)𓈒𓏸投資歴22年🍀長期高配当株🇯🇵 & インデックス 投資家🌏🇺🇸 (@Earn_Dividends) 2023年12月14日
このポスト、本当に読んだ方がいい。ぶっ刺さります
【4996】クミアイ化学工業(3.46%)の決算振り返り
・純利益は23.10月期の前年比10.4%増の180億円
・24.10月期の予想純利益は39%減の110億円
・23.10月期の配当を42円⇒45円に増額
・24.10月期の配当を45円⇒28円に減配
〇感想
配当については前述の通り配当性向30%を具体的に明記しましたので、それに応じた業績連動型の配当政策をしていくということでしょう
では具体的な業績はというと、決して悪くはありません。売上高は拡大する予想ですし、純利益が39%減少する予想を出していますが、営業利益自体は141億⇒120億、14.8%減とそこまでの減少幅ではありません。大きく減少するのは経常利益ですね
経常利益について、22.10期は235億、23.10期241億円に対し、24.10期は150億と37.8%減の見込みです。22.10期は為替益を経常利益に計上したこと、23.10期は持ち分法適用会社の好調な業績と一過性要因もあり大きく増加したとのことで、今期はそれらの利益が剥落しての大幅減益となります
(引用:決算説明資料)
後述する新中期経営計画には、2024年度は世界的な農薬の流通在庫の調整や、ジェネリック対策としての価格戦略、コスト増加などにより営業利益が悪化するが、2026年度には利益水準を回復させる見通しであるとのこと。24.10期は厳しいけど、26.10期にはなんとかするからね、ということだそうです
(引用:決算説明資料)
アクシーブの売上自体もまだまだ増加していくとのことで、2023年度の731億円から2026年度には842億円と拡大する予想です。売り上げに占める割合が50%近くになるので、やはりリスクはあると思いますが、これは投資した当初から理解していたことです
為替やアクシーブ、海外情勢についてのリスクはHPの事業リスクにも記載があり当ブログでも記事にしていました。それを受け入れて投資をしていましたから、納得しています
海外売上比率が60%、特に農薬事業で言えば70%を占めていますから、当然影響も受けます。今回は国内でも在庫調整、アルゼンチンで輸入制限があったとのことですが、今後もそういったことは起こりえますよね
【過去記事】
新中期経営計画について
決算と同時に、2024ー2026年度までの新中期経営計画(以下:新中経)も同時に発表しています。
前中期経営計画(以下:前中経)はいわゆる「種まき期間」でしたが、新中経は「まいた種に水をあげる期間」と位置付けています
(引用:新中期経営計画)
上図を見ると、新中経の数値が低いように見えます。ですが、2023年度の実績が良すぎた、前中経の当初の計画を大きく上回って着地したというのが実態でしょう。当初の目標が売り上げ1260億、営業利益98億でしたから、余裕で上回っています
純利益目標も150億円となっていますが、前述の通りここには一過性の経常利益が乗っていない為、2024年度予想の110億円から見た場合は妥当じゃないかなと思うところです
前中経営では研究所の建設し研究能力の向上にむけた整備をしたり、生産能力の向上やコスト削減の為に工場を改修、建設を実施したり、事業領域の拡大の為に国内外に向けてM&Aを行って来ました
新中経では設備投資に引き続き取り組む一方、研究開発費にも注力していくということで、3年間で設備投資に276億円、研究開発費に220億円を費やすということです。成長投資に総額630億円を費やしていく
(引用:決算説明資料)
これを見て思いました。まだまだ株主還元を積極的に行えるフェーズじゃない。自社株買いだってやってる場合じゃない。私は思いあがっていました。それでも配当性向を引き上げてくれてありがとう。感謝。謝謝
というわけで、新中経でもアクシーブ事業の最大化を図る一方、新たな主力商品としてエフィーダ、ディザルタの拡販にも努めていく予定です
(引用:決算説明資料)
また、研究開発力の強化についてですが、クミアイ化学の新農薬創製確率は「7500分の1」ということ。一般的には「16万分の1」だそうですから、相当高いですよね。HPにも沢山の商品が掲載されています。今後も新商品が展開されていくとしており、決して未来は暗くないんじゃないかなぁと思うところです
(引用:決算説明資料)
決算を振り返って
まず1点。私はクミアイ化学工業についての紹介記事を以前作成しましたたが、これが結構な反響がありました。Xのインプレッションも10万を超えましたし、閲覧数も上位、グーグル検索で「クミアイ化学 ブログ」で検索するとトップヒットします
【その記事がこちら】
また、私のブログ投稿以降、Xでも多くの方がクミアイ化学に投資するようになった気がします。トレンド入りした時もあり、あの時は少し怖くもなりましたね。そして多くの方が、この決算を受けて含み損を抱えたわけです。そこに関しては申し訳ない気持ちもあります
私は凡人でしがないその辺の石ころです。苔が生えててバッチぃです。そんな私でも資産形成できると信じて日々の投資を記録に残しています。自分の為にブログを書いています。フォロワー数もかなり増えましたが、レベル感としては高くなく、バッチぃです
そんな苔の生えた私の感想ですが、クミアイ化学工業について、私はこの決算を受けてなお「いい企業だな」と思っています。300株保有していますが、引き続き長期保有していきたい、そんな気持ちです
最初の方でも書きましたが、もしも株主を軽視しているなら、そもそも2023年度の途中に配当性向を引き上げて大増配しないと思うんです。25年間非減配が継続できないと思うんですよね
業績がいい時に増配する、悪い時には減配する。個人的にはあまり触らないタイプではありますが、いろんな方とお付き合いしてみた方が人生観が養われるように、様々な書籍を読んだ方が視野が広がるように、クミアイ化学とも末永くお付き合いして投資経験を養っていきたい、そんな気持ちです
あと、そもそもの前提が崩れていません。農業は成長産業であり、世界的な課題。人口増加によって生産性の向上・効率化が求められる。クミアイ化学はアクシーブと言う除草剤を開発し世界に広めた。そしてその資金で更なる事業領域の拡大を図り、研究開発を行っている。世界の課題に向き合っている
せっかく自分がしっかり調べた企業です。なんなら今年一番印象に残っている企業です。Xではいろんな意見がありますが、私は永久保有前提でいます。まぁがっつり含み損なので損出しはしますけどね
今後も定期的にブログ更新していきます
Xもよろしくお願いします