クミアイ化学工業(以下:クミアイ化学)に新規投資しました。数株ずつですが最近は毎日投資を続けています
クミアイ化学とは
クミアイ化学は1928年に前身の柑橘同業組合が農薬の製造事業を始め、「農民のための農薬製造」という精神を引き継ぎ、1949年に設立されました。
クミアイ化学という名前になったのは1968年。2019年に70周年を迎えるなかなかに歴史のある企業です
事業内容は
・農薬製品
⇒除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌混合剤など
・法人向け農薬関連
・化成品
⇒受託・開発事業、医薬品・農薬・基盤などの合成原料
・その他製品
⇒化粧品、FRPポット(コンクリートに変わる水田用ポット)など
色々と事業を展開していますが、売上高構成比を見ると80%以上を農薬及び農業関連事業が担っています。利益率にすると90%以上ですから、農薬を専業とする企業という認識で良いかと思います
(出典:バフェットコード)
HPには除草剤、農薬関連の商品がずらりと並んでいます。興味のある方は是非ご覧ください
海外比率が高いのも特徴の一つで、2022.10期の海外売上比率は65.5%とグローバル企業と言っていいでしょう。特に北米、アジアでの売り上げが大きいですね。世界で通用する企業という点でも強みと言えるのかなと思います
(出典:2022.10期本決算説明資料)
主力製品“アクシーブ”について
さて、そんなクミアイ化学の主力製品となっているのが除草剤、アクシーブです
2011年にオーストラリアで販売開始となってから12年間売り上げを拡大し続けています。アクシーブは除草剤に抵抗のある雑草に対して効果を発揮する除草剤で、“抗除草剤雑草用除草剤”として世界的に普及しています
アクシーブの売上高は大幅に増加しており、当社の中期経営計画で目標だった350億円の売上高を一年前倒しで達成、2023年度は729億円を目標にしています
(出典:2022.10期本決算説明資料)
リスクとしては後発薬品の参入が挙げられます。アクシーブの特許は満了していますが、データ保護制度でジェネリック品の市場参入は遅らせられるとのこと
また、アクシーブは大豆、とうもろこし、小麦、サトウキビなどの主翼作物の栽培に使用可能であるため、世界21ヵ国で登録されています。ターゲット市場が大きく販売会社と共同していることも参入障壁になっていると考えられます
ですが、売り上げの43%をこのアクシーブが占めているというのはリスクとして頭に入れておく必要があるかなと思います
過去の業績と財務について
日本企業の大多数が3月決算、もしくは12月を決算月としていると思いますが、クミアイ化学は珍しい10月決算企業です
さて、ここ10年の売り上げ高の推移はこんな感じです
(出典:IRBANK)
営業利益、経常利益、純利益の推移です
(出典:IRBANK)
EPSの推移です
(出典:IRBANK)
多少の凹凸はあれど、長期的に見て右肩上がりに推移しており、赤字になった年もありません。考えてみれば農薬は不景気だから買わないとはなりませんよね。暴落が来た年も業績は落ち込んでおらず、安定感があります
(出典:IRBANK)
企業の稼ぐ力は年々向上している様ですね。営業利益率も今期は10%を超える予想を出していますから、同業他社と比較しても高い部類ですね
自己資本比率です
(出典:IRBANK)
年々減少しているようにも見えますが、近年借金をして工場を建設するなど設備投資に回す金額が増えています。自己資本や利益剰余金は増えていますし、自己資本比率は56%あれば十分でしょう
農薬は成長産業かつ世界の課題
業績が好調ですが、そもそも農業、農薬と言うのは成長産業です
2050年に97億人に達すると予測されている世界人口を支える為には、食料の増産や効率化がとにかく課題となります。その一方で農地の拡大には森林伐採などの環境問題がつきまといます
農地の拡大に頼らず食料を増産させるには、生態系や環境に配慮した農薬を使用することが求められます
また、近年は農薬による自然環境への影響に注目が集まっています。2020年にはEUが「Farm to Fork戦略」が策定、持続可能な食料システムを構築することを目指すと指針されています。日本でも2021年に「みどりの食料システム戦略」が策定され、生産力の向上と環境問題への配慮が求められるようになっています
クミアイ化学は前述のとおりアクシーブの開発によって環境問題に配慮した製品を世界に展開して売り上げを伸ばしています。こうした世界潮流に乗る事業を行っており、毎年多額の研究開発費をかけています
今後も人口増加に伴い農業、農薬事業は領域を広げていくことが予想されます。現時点で海外比率の高いクミアイ化学は今後も成長していくと考える方が自然だと私は考えます
今期の業績について
今期の業績ですが、6月に発表された中間決算で売上高は前年比+32%増、純利益29%と増益発表しています
校長な業績を受けて通期予想を売り上げ1679億⇒1690億円へ、純利益を141億⇒167億へ上方修正しています
(出典:中間決算説明資料)
好調の要因は前述したアクシーブが大幅に出荷増となったこと、値上げや販管費の低下、円安による為替益なども理由です
現行の中期経営計画では2023年度の業績について売上高1260億円、営業利益98億円としていましたが、既に2022年度の時点で超過していますから、非常に順調に推移していますね
株主還元政策について
クミアイ化学の株主還元方針は“収益動向を踏まえた株主の皆様への還元及び企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保などを総合的に勘案しつつ、安定した配当を継続して行うことを基本方針としています”としています
今期で25年連続非減配と非減配期間が長く、配当も6期連続増配予想となっています。以前は積極的に増配する感じではなかったようですが、近年は増配率が上がっています。また、期初の配当予想は24円でしたが、6月の中間決算で18円の大増配をし一気に高配当株になりました
これで配当性向はまだ30%ですから、余裕がありますね
(出典:中間決算説明資料)
そして上図のスライドにある「次期中期経営計画において、より株主の皆様の目線に立った株主還元と社内留保および財務健全性の維持に関する基本的な考え方を開示予定」とあります
現行の中期経営計画は今年度まで、おそらく今年の12月にある本決算で何かしらの還元の発表があると思います。この文言を見るに、配当性向の引き上げによる大幅増配があってもおかしくないんじゃないかと考えています。期待しすぎてはいけませんが、期待させるような文言を書いていますから仕方ありません
株価と投資判断について
クミアイ化学は好調な業績に加え将来性もあり、株主還元に関しても何かを起こしてくれそうな雰囲気のある銘柄として気に入り、コツコツと投資をしていくことにしました
現在の株価は1021円、配当利回りは4.11%(8/3終値時点)。これは過去を見ても高くなっていますが、株価はコロナ前の高値を抜けられていません
PER、PBRを見ても割高感はなくむしろ割安でしょう
また、個人的に10月決算銘柄というのも面白いなぁと感じています。決算時期がずれるので負担も減りますし、配当も1・7月に入金されますから配当を貰う楽しみも増えますね
そんなわけで、新中期経営計画の発表を楽しみに、今からコツコツと株数を積み上げていこうと思います
今後も定期的にブログ更新していきます
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